夜を彩る花
Posted by 尾谷 in もろもろ
空にはひとかけらの雲も見えず、地面は陽炎で揺らめいてる今年の夏。
涼しげな風鈴の音を聞きながら「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉を信じ耐えたいと。
夏の風物詩と言えば「花火」。
日本有数の花火大会で知られる東京の「隅田川花火大会」は、江戸時代に病気や凶作そして飢餓で多数の死者が出た事を当時の将軍「徳川吉宗」が憂い、隅田川の水神祭で花火を催すことで死者への鎮魂と悪疫退散を祈ったのが始まりとされています。
ところでみなさんは、夜空に咲く花火に歓声や拍手にまじって「たまや~」という掛け声を耳にしますが何故なのかご存知ですか?
それは江戸時代に花火が庶民の間で人気となり、花火職人の「鍵屋」と「玉屋」の共演が行われるようになりました。
隅田川の両国橋を境に、下流は鍵屋、上流は玉屋が受け持ち、それぞれの花火が上がると、観客が「よ、たまや~!よ、かぎや~!」
とかけ声をかけるようになった事から現在もそのような掛け声が引き継がれてるようです。
花火はなにも打ち上げ花火だけではありません。
「夕涼み 花火線香の 匂ひ哉」と涼しげな正岡子規の俳句にもあるとおり、家庭で楽しむ線香花火などもあります。
夕涼みをしながら夜を彩る花の中に儚さを重ね故人を想い重ねることは、日本人らしい趣きある習慣だと思いませんか?
暑さ厳しい日はまだまだ続きますが、夏の疲れを残さず秋の足音を心待ちしましょう。
13 8月 2020
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