「建築模型」の意味
建築は立体的な空間です。
全ての建築ではありませんが、時と場合により「建築模型」を作る事があります。
中には、お客様へのプレゼンテーションやパフォーマンスの為に建築模型を製作する設計事務所やハウスメーカーがありますが、弊社では図面や数字だけでは読み取れない光や影、空気の流れ、美しい屋根や構造形式、敷地に対して調和してるかを立体的に検討する為に製作しています。
このスタディを重ね検討していく作業は、料理人が仕込み作業をしているような物なので、お客様にお見せする場合もあればお見せしない事もあります。
では、「建築模型」でどのような検討をしているのか過去の物件を通してお伝えしたいと思います。
■春日部の家 2006年竣工
●構造の検討
◇厳しい法規制により必然的に建物の輪郭が決定され、最大限の空間をシンプルに確保する為に検討を行った構造模型
◇完成
■野田の家 2010年
●増築を伴う構造の検討→ヴォリュームの検討
◇既存建物
◇耐震診断後、耐震補強工事を伴う増築の検討。
白い材料は既存部分の構造材で、濃い材料は増築部分や補強の構造材。
費用対効果や今後の住まい方を検討し、新築に変更。
◇必要な役割を与えたヴォリュームを分散させ、街並みに余白を与えるように検討した模型。
◇完成
5年経過した現在は施主のしつらえと樹木の成長のお蔭で、強い建物の輪郭がやわらぎ町並みに潤いを提供できてるように感じます。
■春日部の家Ⅱ 2014年
●ヴォリュームと屋根の検討
◇比較的規模の大きい二世帯住宅なので、田園風景が広がる敷地に威圧感なく溶け込むように3つのヴォリュームに分散。
道路側には低い建物を配置し3つの屋根が美しく連なるように検討。
◇完成
あと2年ほどで手前の低い建物は樹木で埋もれる予定です。
■岩槻の家 2015年5月上棟
●構造と開口部の検討
◇9.1m×9.1mの四角い建物で、4隅をくり抜いた場所には光や風を採り入れる開口部があり、自立性ある美しい構造と屋根です。
※模型は壊せますが、建築は壊すわけにはいきません。
今後も施主の暮らしを想い、その敷地に建つ建築が成り立つコンセプトをイメージしながら、一軒一軒質の高い建築を作って行こうと思います。