余白の美
毎回、ブログを書いていると、途中から脱線して面白可笑しく書いてしまうので、たまにはまじめな話しで、タイトルにもある通り「余白の美」について。
私が設計する建築には、規模の大小関係なく共通する事があります。
それは「美しい構造と美しい屋根を架けること」が大前提なのは以前のブログでも書きましたが、それと同時に「余白を創り出すこと」も大切だと考えています。
建築に於ける「余白」は様々な「場」に必要ですが、一番分かりやすいのは「壁と開口部」の関係だと思います。
街中や住宅街を散策していると、少ししかない壁面に、無用な小窓を無理に設けている住宅をよく見かけたりします。
どう考えてもその小窓は意味が無いだけではなく、プライバシーや清掃の観点から考えても、余計なお世話でしょうが、不要に感じてしまいます。
私の設計では、意味の無い開口部は設けず、「壁なら壁」・「窓なら窓」と明快な壁面構成とするようにしています。
壁があるからこそ、その開口部が活きてくるのです。
この考えが私の考える「余白の美」です。
■なんか文章だけでは分かりにくいので写真でも!
□ワイキキ アパートメント
日本であれば、道路側に小窓を設けたりしますが、さすがハワイアン!
きっと工事中に「窓があったら、住人がジャパニーズの観光客に見られるし、窓を設けたら俺らの仕事が増えちゃうから、ここは壁ね!壁ったら壁!」という適当な会話の末、生まれたであろうこの壁。(これ私の想像ですので・・・)
っま、大概のアパートメントは道路側には窓を設けていません。日本だけです。無駄な窓を設けて賃料を採ろうとするのは。
石張りの存在感のある壁があるからこそ、テラスの軽やかな開放感が生まれます。
□野田の家 壁面構成
不要な開口部は一切無く、北側(手前側)にはバスコートの板張りと、玄関ポーチの木製玄関引戸があるのみ。
必然的に視線は玄関ポーチに向きます。
□野田の家 外装工事中
模型と同じアングルなのですが、残念ながらシートで見えません...
このブログでは初登場の物体が映っています・・・
□会社表示板
手前から、尾谷工務店→海工作舎→施主のポスト(届け先変更していますが、念の為)
会社の表示板には、自己満足的な文章をダラダラ書くのではなく、社名と人・物・技という3文字のみで構成し余白を確保しています。
これだったら、不要な情報は無いので社名を覚えて貰えるかな?
ちなみに、「人・物・技」の意味に関しては、ホームページの社長の挨拶に書いているので覗いて見て下さい。
■アート・プロダクト
「パンダくん!ようこそ上野動物園に!」っていうタイムリーに狙った写真ではありません。(ちょっと微妙な表情ですが...)
表示板はひょんな事から知り合った、松伏町にある建築金物や看板などを手がけている「アート・プロダクト」さんにて製作して頂きました。(松伏の業者さん、ブログ初見参!)
社長様に作品集を見せて頂いたところ、なかなかクオリティーの高い仕事をされていたので、「我が松伏町も捨てたもんじゃないじゃーん」と痛感!
今度、ハンドレール、庇、エクステリアなどの相談にいこうと思案中なんですが、当分目の前の図面に追われてそう...
■工場内
突然伺ったにも関わらず、工場内は綺麗に清掃が行き届き、道具が整頓されていました。
当たり前のことが当たり前に出来る・・・これが大切です。
ちなみに、後ろ姿の女性が担当の三浦さん。(余白というタイトル通り、たしか色白だったような・・・?違ったっけ・・・っまいいか!)
※設計だけでは建築を創り出すことはできません。
様々な業者さんが人・物・技を駆使し、始めて建築が出来あがります。
私はその建築が美しくあり続けるよう、これからも余白を与えるだけです。