変わるもの、変わらないもの
13年前。
当時30才の私が設計した、80才と78才のご夫婦の「我孫子の家」。
多くの経験を積んできた依頼主に対して、小手先の設計や能書きではすぐ見抜かれると思い、
少しの緊張と少しの経験と一緒に、依頼主の大船に乗らせて頂くことに決めました。
そうすることで肩の力が抜け、萎縮することなく取り組むことが出来たと思います。
若い設計者に「終の棲家」を委ねた施主のおおらかな大船のお陰で、
今も昔も変わらないたくさんのディテールという引き出しが産まれました。
成長していないのか、はたまたブレていないのかは分かりませんが、
「我孫子の家」のメンテナンスの模様と一緒に、
『変わるもの』、『変わらないもの』をご覧下さい。
■我孫子市 T邸
設計期間:2004年5月~10月
工事期間:2004年11月~2005年3月
◆メンテナンス
◇13年目の外観
◇依頼されていた階段や。。。
◇吹き抜け越しの和室に手摺を設置し。。。
◇外部収納の木製扉を新調し。。。
◇サッシ調整をし。。。
◇塗装のメンテナンスを行いました。
◇あれから13年。
ご主人様は他界されましたが、
91才の奥様は家事を一人でこなし、
友達とフラダンスをしたり元気に過ごされています。
◇幼さが残ってますが、30才の私が描いていた図面です。
1階平面図
◇2階平面図
◇断面図
■『変わるもの』、『変わらないもの』
◇玄関、ホール
天井高さ:2200㎜
手摺代わりになる、カウンターと手摺がシンプルに組み合わさっています。
◇手摺とカウンターの取り合いのスケッチ。
毎日現場に行っていました。
◇居間、食堂
天井高さ:2371㎜
床:カリン
壁:珪藻土
天井:杉
造作材:ピーラー材
◇居間、食堂
玄関ホールとは幅1200㎜の扉で仕切られている。
◇動線の要の位置に、インターホン、床暖房リモコン、スイッチ等が並んでいる。
◇洗面所
天井高さ:2200㎜
奥の扉を開けると。。。
◇トイレ
洗面所とトイレが一体になっている。
◇洗面化粧台
◇納戸
天井高さ:2200㎜
片側には手持ちの箪笥。
もう片側にはパイプの設置。
◇1階寝室
天井高さ:2300㎜
寝室から納戸を通って洗面所、トイレ、浴室に行ける。
◇居間から吹き抜けを見上げる。
◇踊り場からお茶をしてるサッシ屋さんを見下ろす。
◇踊り場から吹き抜け越しの和室を見る。
◇2階寝室
天井高さ:2300㎜
窓横の板張りはベットボードを兼ね、
書斎スペース、クローゼット、納戸が設えてある。
◇2階和室
天井高さ:2250㎜
床の間の窓は風の通り道。
吹き抜け越しにある障子は、手賀沼の花火大会での特等席。
曾孫さんの転落防止の為、手摺の新設。
一部天井は葦ボード。
◇左の色の濃い手摺は当時のもの。
若干寸法は違うが、今と同じディテール。
◇2階トイレ
天井高さ:2200㎜
建具の反り止め材に切り欠き加工をし、
手摺を兼ねている。
※今後も、『変わることの意味』、『変わらないことの大切さ』を住まい手から学び、
自分の感性で確立したいと思います。
そうする事で、住まいは新たな世代に替わったからといって、
壊されること無く継承されると確信しています。
最後になりましたがT様。
愛着を持って綺麗に生活してるのを見て嬉しい限りです。
本当にありがとうございます!!