幸手の家 設計のプロセス
幸手市の田園風景が広がり農家さんが点在する敷地に計画した「幸手の家」の設計プロセスをお伝えします。
初めて相談があったのは7ヶ月前の2018年2月。
母屋、物置のある約400坪の農家の敷地に、世帯を持った息子さん夫婦の住まいのご依頼です。
地方や農家住宅でよくみられるのは、
家の大きさが一家の繁栄を表すため、とにかく大きく、とにかく高く家を建てるのが慣習となってますが、
私が考えたのはその逆で、今までの風景を壊す事無く、あたかも昔からあったように小さく、低く家を建てようと。
要望は、2000冊の本の収納と、室内に物干し場所を設けることのみ。
では、田んぼの真ん中にポンっと建っていても成立するであろうプランを模索していたプロセスをご覧ください。
□田園風景と広い空が広がる敷地
□右側に見える母屋がある敷地が計画地
□角度の振れた道路と空への抜け。。。
□そして母屋に対しての謙遜さを意識し。。。
□建物の配置を考えていました。
□初期の段階では間取りはどうでもよく、400坪の敷地全体で考えます。
駐車場や物干しなどの外部スペースだけでなく、庭や母屋とのつながり方を考えながら、
骨格となる構造の仕組み、屋根の形状、過不足無く綺麗に面積がおさまるボリュームを検討していきます。
□小さな3つのブロックに分散した1階建て。
この場所にある納屋はもうじき解体し無くなってしまうけれど、
ここにあった納屋のように、小さな3つのブロックを等間隔に並べ、
その空いた庭に四季折々の雑木を植え、家と庭の密接さを考えていた。
□十文字の2階建て。
背筋をシャンっと伸ばした十文字の2階建てがあり、
1階部分の四隅には外部と密接な関係のある、玄関、物干し場、デッキ、駐車場を考えていた。
□そのほかにもたくさんの仕組みを考えていたが、
もっとシンプルにこの場所にあるべき姿があるはずだと抗っていたら、
9.5m×10.9mのボリュームにシンプルな屋根を架け、
見た目は1階建てだけど、屋根の下には2階部分が内包されている美しい構造のプランが出来ました。
□スタディ模型で屋根や開口部の高さをチェック
□一家勢ぞろいのなか設計趣旨や10年20年先の事を説明しながらプレゼンし、1回でプラン確定。
□田んぼの真ん中にポンっと建っていても成立する自立性の高いプランかと。
※毎回このように、周辺との調和そして敷地と庭に対してあるべき建物の骨格を模索し設計をしています。