手のひらサイズ
たいした実力もない設計者気取りの20代の頃。
数パターンのプランと模型を前に熱くクライアントに提示した際、
「ところで尾谷さんはどれが良いと思ってるの?設計者ならこれしかないというプランを提示してください。」
っと当然の事を言われ、恥ずかしい思いをしました。
その後、私がプレゼンするプランはこれしかないという一つのみ。
今でも設計者としての心構えを教えてくれたその方とは、文通や弊社の季刊誌を通し良いお付き合いをさせて頂いています。
17坪の敷地に、年配のご夫婦が暮らす延べ床面積15坪の住まい。
決して大きくない敷地だからといって、何かを犠牲にした引き算の住まいでは意味がありません。
あれもこれもと欲張らず無駄を省き、合理性と何が本当に必要かを考え、奥様が1階でストレス無く完結する「手のひらサイズ」のプランを目指しました。
■T邸 越谷市
敷地、周辺環境、道路、家族構成、住まい方によってプランはさまざま。
依頼者がうまく言葉で伝えられないことを、設計者が解釈し具体化させなくてはいけません。
今まで多くのお宅の設計をしてきた事もあり、半分は無駄かもしれませんが少し役に立つ引き出しが私にもあります。
プランを作るときその引き出しを引いたり押したり、たまには指を挟んだり隠れていたヘソクリを見つけたりとお忙し。
では、細かい仕事を終え頭を切り替え一気にプランを考えている模様をお届けします。
□「駐車場なしでも良いですよ~」っと言われましたが、もしかしたら出来るかもしれないと思い1時間くらいで2つのプランを作りました。
どうしても、自転車スペースや物干しスペースが作れないのでポイ。
同じような間取りで鉛筆をこねくり回してもたいしたのは生まれないので、私はさっさと切り替えていきます。
□14:00
現場から戻りお昼ご飯を食べたら、駐車場なしのプランに着手。
「おーできた!これが答えだったのね♪」っと思っていたら2階にはある階段が1階にはありませんでした。
□14:45
階段を設けたプランを眺めていたら、次はトイレがありませんでした。
□15:17
階段、トイレ、自転車スペース、物干しスペース、アプローチの距離を確保しプラン確定。
□このスケッチではただの落書きにしか見えませんが、屋根、1階、2階、断面、構造、設備や照明スイッチなどを同時で考えています。
□1階はシューズインクローク、食品庫、物干しスペースがあり9坪で完結しています。
2階には、寝室や納戸そしてベランダがある6坪。
見た目は平屋建てですね。
プランと住まい方の説明をし、軽微な変更もなく1回でプラン決定。
□計画地を眺め、
□物干し場から見える風景を見ていたら、路上駐車をしている私の車が煩わしかったです。
こんな感じで毎回一つのプランを考え出しています。