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野田の家 / 新築

設計趣旨
 千葉県野田市にあるこの土地は昭和50年代に開発された郊外住宅地で、手入れの行き届いた建物と緑豊かな庭で形成された、おおらかでゆったりした町並みが特徴的である。

 この場所には建て主が30年あまりにわたって住み続けてきた家があり、今は取り壊してしまったリビングでゆったりした時間を過ごした時の事は今でも鮮明に覚えている。穏やかな陽が差し込む窓からは、建て主が長年にわたって手塩に掛けて育ててきた野趣あふれる庭を眺める事ができた。そんなゆったりした時間のなかで新しい家について話を伺いながら家のイメージを膨らませる事ができた事が、この家の設計の決定的な時間だったのだと思う。

 既に豊かな空間は存在しているので、新しい家により町並みに違和感と圧迫感を与えるのではなく、必要な役割を与えたヴォリュームを分散させ町並みに余白を与えつつ、ゆったりした風景を継承出来ればいいのではと考えると、設計の加速度が増し色々な事がシステマチックに決定され組み立てられ、当初思い描いていた家のイメージを具体化することが出来た。

 深緑の色増す5月に竣工した。出来上がった家を訪れてみると、新しい家を楽しみつつ魅力的な住まい方をしている建て主と、緑豊かな町並みをみていると不思議な事に自分が設計したという感覚が無い。 私がした事は月並みではあるが、建物と風景を馴染ませる事だけだったと思う。

(設計 海工作舎)
物件概要

項目

詳細

建物名 野田の家
所在地 千葉県野田市
主要用途 専用住宅
家族構成 夫婦+子供
構造・規模 木造在来工法2階建
敷地面積 192.50㎡
建築面積 91.49㎡
延床面積 143.59㎡
1階 77.01㎡
2階 66.58㎡
車庫 14.90㎡
容積体積 128.69㎡
軒高 6122mm
最高高さ 7018mm
敷地条件 市街化区域
道路幅員 北6.00m/西6.00m
駐車台数 1台
図面
1 ポーチ 2 露地 3 車庫 4 物置 5 土間 6 台所 7 居間 8 小間 <br />9 寝室1 10 寝室2 11 寝室3 12 図書室 13 納戸 14 テラス
1 ポーチ 2 露地 3 車庫 4 物置 5 土間 6 台所 7 居間 8 小間 <br />9 寝室1 10 寝室2 11 寝室3 12 図書室 13 納戸 14 テラス
1 ポーチ 2 露地 3 車庫 4 物置 5 土間 6 台所 7 居間 8 小間 <br />9 寝室1 10 寝室2 11 寝室3 12 図書室 13 納戸 14 テラス
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1:格子戸 夜、桧で製作された格子戸を道路から眺める。ポーチの光りが格子戸の隙間より放射状の光になり道路を照らす。
2:ポーチ 格子戸を開けると、連続した木製建具と一体になった空間が佇んでいる。 淡いグラデーションの光が落ちてくる正面は露地で、右手には車庫があり左手には玄関へと、人の流れをさばくジャンクションのような交通の要となるポーチ。 木製建具は全て引き戸としタモ材で製作している。壁、天井は杉の無垢板。
3:露地 将来の身体的変化にシンプルに対法出来るよう、道路からはスロープ状の露地を通ってポーチに行くことが出来る。
4:玄関 ポーチと玄関が一体の空間になるよう、天井高さは玄関戸に合わせている。 壁は塗装仕上げ、天井は杉の無垢板とし、床は紫檀(ローズウッド)の無垢フローリング。
5:居間 居間から小間を見る。 玄関との連続性を持たす為に仕上げは同じとしながらも、居間には床暖房を施している。 空間にメリハリを付ける為にも、居間の天井高さは玄関より350㎜高い2550㎜。
6:小間 小間から居間そして台所へと連続した天井が続く。小間と居間は400㎜のレベル差がある。 南に面した窓、そして反対側にある露地に面した地窓により通風を促す。
7:台所 生活と家事に必要な機能、そして動線の要となるコクピットのような台所。
8:洗面所 壁と天井は塗装仕上げとし、床は紫檀(ローズウッド)の無垢フローリング。左手にある格子戸を開けると洗濯機と洗剤等をコンパクトにまとめたスペース。正面の下にある小さな扉はメンテナンス用の点検口。
9:1階トイレ 将来の身体的変化にも対応出来るよう、必要な機能をゆったりと配置している。手洗い器の下の扉の引き手はL型に加工したタモの無垢材を付けただけ。
10:階段 階段の1段目は、厚さ45㎜のタモの無垢板とし緩やかな角度を付けている。 70㎜×70㎜のタモ無垢材の独立手摺り柱には指先が掛かるように15㎜の溝加工を施してあり連続した階段手摺りに持ち替える事が出来る。
11:2階廊下 家の中心には180㎜×180㎜の杉の通し柱があり、その柱にはダイレクトに建具が納まっている。
12:図書室 建て主が長年収集してきた書物を収納するだけではなく、書斎の機能そして家事を行う機能も併せ持つ。
13:車庫 車庫の両脇には、園芸用品や陶芸用品などが収納出来るよう、可動棚の設置や外流しが設えてある。上部の開閉式ハイサイドライトからは、柔らかな光が落ちてくると共に自然換気を促すことができる。
14:テラス 車庫の上部はテラスとして活用。ハイサイドライトの上部はFRP防水の上にスノコを敷き、、鉢の植え替えなどの作業台に活用している。